お題 青春の一冊
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
中学・高校と没頭して青春小説を読み漁りましたが
私にとっての【青春の一冊】ってどれだろう?とちょっとピンときません。
好きな本はたくさんあります。
影響を受けた物語も少なくありません。
でも、私の青春を語れる小説ってどれだろ?
スロウハイツの神様/辻村美月
高校生の時に3度、4度と読み返した本です。
そのころの私にはとても響くお話でした。
優しい言葉に、やさしい物語。
だけど合間合間に人の醜さが垣間見えて「人間ってこういうもの」と気づかされて、
だけど「人って愛おしい」と語りかけてくる言葉が心にしみました。
この小説に出会うのがもっと早かったり遅かったりしていたら、こんなにも響かなかったかも知れません。
自分のことが嫌いで、何となく消化するように日々を過ごしていたその頃。
いいも悪いも変わり映えのないループだと思い込んでいたと思います。
いいことも悪いことも、ずっとは続かないんです。いつか、終わりが来て、それが来ない場合には、きっと形が変容していく。
続き続けることは、必ずしもいいことばかりではない。望むと望まざるにかかわらず、絶対にそうなるんです。ぼく、結構知ってます。
これは登場人物の言葉。
なら、がんばろっかな。と思わされました。
辻村の作品はグロテスクな表現があったり世界観がぶっ飛んでいたりして
読む人を選にますが、この作品に関しては
誰かが死んだり裏社会が垣間見えたり誰かがひどい失恋をするわけでもないのに
何故だか大きく心を動かされました。
結局これが青春の一冊?かな?
私の青春のいいや悪いを受け止めてもらった一冊です。